Return to the souce
この椅子と僕との出会いは既に10年以上前になります。
初めて実物と対面したのはコペーンハーゲンの業者の倉庫。
いまでもよく覚えてる初めての買い付けの時でした。
当時、雑誌でしか見たことなかったこの椅子の第一印象は、、
普通のソファじゃん。何かそんなに良いの??
なんでそんなに高いんだ??(それでも今と比べると随分安かったんですけど。笑)
まだ北欧家具初心者の僕にはその良さは正直あまり伝わってきませんでした。
それでも座った時に他の椅子とは違う心地よい何かをなんとなくを感じたんですよね。
取り敢えず買い付けをして到着してから担当者とメンテナンスをしたのですが、これも初めての経験。
当時の我々にとっては高価な椅子だったので椅子修理の専門書を片手に緊張しながら作業をしたのが懐かしいです。
クッションをバラバラにしてその複雑な作りに当時は驚き、見よう見まねでオリジナルに近い復元を心がけました。
そんな思考錯誤をしていると椅子の細部にまで目が行き、シンプルな中の細かいディテールや、有用性のあるデザインに気がついたんです。
これがきっかけで道具のデザインについて考えるようになったんです。
僕にとってはこの経験がなければここまで長く家具屋をやって来れなかったと思うんですよね。
そのくらい夢中になれました。
あれから随分時間も過ぎて・・今日まで数えきれないくらい、この椅子が僕の目の前を通り過ぎて行きました。
その間には少し分かった気分に浸りカッコつけて、
GE290も良いけど、ミーハーだよね・・
なんて、あれこれ駄目出ししてた時期もありましたね。笑
若気の至りってやつでしょうか。
でも、久々に到着したこの1脚に座った時、思い出したのが前述のお話とやっぱり名作だなの素直な感想でした。
ぐるっと一周して僕に再び原点を感じさせてくれる椅子。
それがGE290です。
004R098 イージーチェアGE290
ハンス・ウェグナー
W 75 D 78 H 71 SH 40cm
材質チーク
GETAMA製(デンマーク)